なごみの空間

 どんなに気ままな旅をしてきても、どんなに素敵な宿に泊まったとしても、我が家に帰ってホッと手足をのばす時、「ああやっぱりここが一番…」と感じた経験はありませんか。
 普段のままの自分の帰り、素顔の自分を取り戻す場所、それが家庭であり家族なのだと思います。くつろぎとか安らぎとか、そんな言葉があったことさえ忘れている時のしあわせ。とりとめもない会話や笑い声を親と子と、夫と妻と交わすよろこび。家族がなごむ空間には、丸い大きなテーブルが似合います。そう言えば、団欒(だんらん)や団居(まどい)という表現にはまるく集まる…という意味が必ず含まれていますし、なごむの「和」の字は「輪」と同じ発音です。丸いテーブルを囲めば人と人は等間隔。そして上座も下座もなくて誰もが対等。だからでしょうか、自分が選んだ自分の椅子に座っているだけで、とても安心できるのです。みんなが楽しく集う所に、職人たちの正直な手仕事からうまれる、木の暖かみの感じられる、テーブルと椅子をぜひ使いたいものです。